現在、日本では主に6種類の血圧を下げる薬(降圧剤)が汎用されており、様々な病院で処方されています。この6種類の降圧剤の特徴と厚生労働省に報告されている副作用について、先ずは、カルシウム拮抗薬からお話をさせていただきました。
おそらく最も多くの高血圧の人に処方されている降圧剤は「カルシウム拮抗薬」です。多い理由は、製薬会社にとって最も製造しやすい単純構造の成分で、副作用リスクが少ないからです。それに製造コストも比較的安価で薬価が高い上、薬価差益という利幅が獲得できるため病院や医師が採用しやすいとされています。カルシウム拮抗薬の成分特徴は血管の中に存在する「血管平滑筋」という筋肉にカルシウムイオンが入ってくると、この筋肉が収縮し血圧上昇を引き起こすので、この薬でカルシウムイオンを入ってくるのをブロックさせることにより「血管平滑筋」の収縮を抑え、血圧上昇を抑えるものとなります。一般的な副作用としては動悸、頭痛、ほてり感、浮腫み、歯肉増生、便秘などがあります。グレープフルーツとの食べ合わせは注意が必要なことで有名です。グレープフルーツはカルシウム拮抗薬の分解を遅くするため、薬が効きすぎて血圧が異常に下がってしまう危険性があるのです。カルシウム拮抗薬を飲む前後4時間はグレープフルーツを食べると非常に危険とされています。
〈カルシウム拮抗薬とカルシウム剤〉
カルシウム拮抗薬は血液中のカルシウムに作用するのではなく、細胞中のカルシウムを少なくするように働きます。名前から想像するようなカルシウムと競合する作用やカルシウムの吸収を阻害する作用はありません。従って、医学的にも薬学的にもカルシウム拮抗薬の血圧を下げる効果がカルシウム剤によって影響を受けることはないとされています。